MBAを取得する最中、およびその前後で出会った書籍の中で、特に気になった所や参考になった箇所を書き残していきます。
史上最高の経済学者 シュンペーター 名和高司
シュンペーターといえばご存知の通り近代イノベーションの提唱者です。イノベーションは当初は新結合と言われていたように新たな価値を創ることが本質です。この書籍はシュンペーターの考え方の本質をしっかり書き下しながらも太字や区切りによって大変読みやすい良書です。アントレプレナーの定義は「行動する人」
これは結構重要な点です。大企業ではイノベーションのシナリオや設計図の議論を延々と続けてしまいがちですが、大切なのは行動だと私も思っています。
外部環境にとらわれるな、内発的な思いこそがイノベーションの起点となる
マーケットの御用聞きでイノベーションは起こせない。本質的なところだと思います。
企業が自らを変革していくことによって外部経済を変えられる
外部経済に対応していく。これはPESTEL分析などの外部分析を議論の起点にしがちなMBAの考え方を根本から見直す必要があるくらい重要だと思います。
アントレプレナーの役割は、無数の可能性の中から筋の良いものを組み合わせて実際の社会活動に実装していくこと
全く新しいものを生み出す事ではなく、あくまで新しい事業を作っていくことがアントレプレナーである。
イノベーションは技術創造ではなく事業創造であり、R&DというよりR&Bが重要
イノベーションというとR&Dだとなりがちですが、事業創生というとマーケティングなど事業化にもっと軸足を置くことが重要
マーケティングの本質は市場や顧客におもねる事ではなく、市場や顧客を新たに創り出すこと
分析をするだけではないという意味も感じました。これはMBAでも習いました。
顧客の顕在ニーズに寄り添うのはリノベーション、真のイノベーションは潜在ニーズの発掘である
顧客の御用聞きになるのは営業業務、真のマーケティングは顧客も気づいていない課題や期待を発掘し、新しい事業領域を見つけ出すこと
ワークライフハーモニーこそ、21世紀の働き方 by ジェフベゾス
仕事とプライベートがトレードオフなのは時間の概念ですが、そもそも仕事に自己実現や成長などの価値を見出していれば、仕事によってプライベートも充実する。さらにプライベートも健康や趣味によって自身を充実させれば良い仕事にもつながるというハーモニーを大切にするべきだという考えです。
ただジョブ型にすると回転ドア企業になってしまう。異能人材が定着するのは、企業独自の組織能力で自分の力が桁違いの価値を生み出す時。
回転ドア企業という表現が言い得ているなと感じました。結局本人が成長を感じることも重要なのかなと思います。その為の組織でもあらねばならないと思いました。
アントレプレナーの反対はアドミニストレーター(事業管理者)である。アドミニストレーターしかいないならそこに進捗はあり得ない。
MBAはその定義からアドミニストレーターとしてのスキルを学びます。しかしイノベーションに重要なのはアントレプレナーシップです。尚、ここで紹介しているMBAは後半をAnglia Ruskin Universityで学びますが、同大学ではアントレプレナーシップを中心としたモジュールを学びます。
日本でイノベーションが生まれないのは0→1のアイデアが枯渇しているからという勘違いが吹聴されている。
イノベーションの真髄は社会実装である。アイデア勝負なのはスタートアップであり、如何にスケールさせるか、社会に技術を浸透させるかがイノベーションの本質だということです。
資本主義としてカネを中心とした考え方に寄っている。本質的には人の輝く思いが重要。
この様な記載があった訳ではないですが私の解釈で記載しました。結局は人が大切という近代の結論を示しているとも思いました。
ウェルビーイングよりもベタービカミング(見果てぬ夢)を
よりダイナミックなビジョンだと思いました。でも成長を良しとしない最近の欧州の風潮からするとどうなのかな、と若干疑問にも思いました。
まとめ
シュンペーターのイノベーション理論の原著は実はちゃんと読んだことがありません。しかしこの書籍を読んで色々と気づきを得ることができました。
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